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死者の民主主義

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畑中 章宏 著
トランスビュー 出版社

人ならざるものたちの声を聴け

20世紀初めのほぼ同じ時期に、イギリス人作家チェスタトンと、当時はまだ官僚だった民俗学者の柳田国男は、ほぼ同じことを主張した。それが「死者の民主主義」である。
その意味するところは、世の中のあり方を決める選挙への投票権を生きている者だけが独占するべきではない、すなわち「死者にも選挙権を与えよ」ということである。

精霊や妖怪、小さな神々といったものは、単なる迷信にすぎないのだろうか。
それらを素朴に信じてきた人びとこそが、社会の担い手だったのではなかったか。
いま私たちは、近代化のなかで見過ごされてきたものに目を向け、
伝統にもとづく古くて新しい民主主義を考えなければならない。

死者、妖怪、幽霊、動物、神、そしてAI……
人は「見えない世界」とどのようにつながってきたのか。
古今の現象を民俗学の視点で読み解く論考集。


〔本書に登場するものたち〕
柳田国男、南方熊楠、宮本常一、今和次郎、ギルバート・K・チェスタトン、網野善彦、宮沢賢治、谷川健一、諸星大二郎、道祖神、河童、天狗、ザシキワラシ、潜伏キリシタン、仙童寅吉、熊、猫、アイボ、VTuber、浦野すず、飴屋法水、齋藤陽道…

目次
Ⅰ 死者の民主主義
 いまこの国には「死者のための民主主義」が必要である
 「私は死んだのですか?」――大震災をめぐる「幽霊」と「妖怪」
 妖怪と公共
 死者に「更衣」した大勢の若者たち――渋谷のハロウィンをめぐる考察
 日本の祭はどこにあるのか

Ⅱ 人はなぜ「怪」を見るのか
 諸星大二郎論序説
 ITと怪異現象――二一世紀の妖怪を探して
 VTuberは人形浄瑠璃と似ているか?
 江戸時代から続く「日本人のVR羨望」
 アイボの慰霊とザギトワへのご褒美
 あなたは飴屋法水の『何処からの手紙』を見逃すべきではなかった
 「まれびと」としての写真家――齋藤陽道展「なにものか」
 『この世界の片隅に』は妖怪映画である

Ⅲ 日本人と信仰
 縄文と民俗の交差点――八ヶ岳山麓の「辻」をめぐって
 熊を神に祀る風習
 窓いっぱいの猫の顔
 移住漁民と水神信仰
 「休日増」を勝ちとった江戸時代の若者たち
 『沈黙』のキリシタンは、何を拝んでいたのか?
 戦後日本「初詣」史――クルマの普及と交通安全祈願
 大阪万博と知られざる聖地
 日本人にとって「結び」とは何か――正月飾りに秘められた驚きの科学

Ⅳ さまざまな民俗学
 手帳のなかの庚申塔――宮沢賢治と災害フォークロア
 「青」のフォークロア――谷川健一をめぐる風景
 写真と民俗学者たち
 東北に向けた考現学のまなざし――今和次郎と今純三
 「百姓」のフォークロア――網野善彦の歴史学と「塩・柿・蚕」

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